イワシ運動とは/なぜ、イタリアで、この運動が広がっているのか

 イタリアで、「イワシ運動」という名前の草の根の運動が広がっています。イワシ運動とは、どんな狙いで結成されたのでしょうか。また、なぜ、この運動がイタリア各地で広がりを見せているのでしょうか。調べてみました。

イワシ運動とは

 早速、イワシ運動が始まった経緯や、主義主張、特徴、今後の展望などを見ていきましょう。

イワシ運動の経緯は?

 イワシ運動は2019年11月、イタリア北部ボローニャで、アパートをシェアしていた4人の若者によって旗揚げされました。ポピュリズム(大衆迎合主義)的な政策を訴える右派「同盟」(サルビーニ党首=前副首相)の伸張にストップをかけようとしたものです。

 イワシはイタリア語で、「サルディーネ」です。イワシ運動は、サルビーニ党首の名前と運動の名前を引っかけたもので、わかりやすく、運動の狙いを印象づけています。

イワシ運動の主義主張は?

 同盟は、「イタリア第一主義」や移民排斥のポピュリズムを訴えていますから、イワシ運動の主義主張の第一はまず、このポピュリズムに対する勢力を構築しようとするものです。「移民流入で、イタリア人の生活が脅かされる」という同盟の主張に強く反発しています。

 イワシ運動の主義主張はこのほかに、人権や民主主義を尊重していこうというものもあります。思想、信条的には、中道左派に近く、右派ポピュリズム勢力の伸張を十分に阻止できない中道左派勢力を支援していこうとする狙いもあります。

イワシ運動の特徴は?

 運動参加者は、イワシの絵を掲げて集会場に集まっています。取り決めなど強制されるものはなく、自由な、緩い活動になっているのが最大の特徴です。

 ただ、結成当初は、ボローニャに約6000人が集まっただけでしたが、参加者は次第に増え、昨年12月、首都ローマでの集会には約10万人が集まりました。

イワシ運動の今後の展望は?

 イワシ運動が政党に発展するかどうかが今後の焦点となります。イワシ運動を結成した若者4人は政治経験もないことから政党結成には否定的ですが、政党結成を望む声も増えつつあります。市民運動のままでは、右派ポピュリズムに十分対抗できないという危機意識も芽生えてきています。

まとめ

 イタリアでは2018年春の総選挙で、左派ポピュリスト政党の「五つ星運動」が伸張し、政権の座に就きました。

 イワシ運動は2020年3月、全国会議を開き、今後の方針を決める予定ですが、五つ星運動のように、大きな政党に発展するのか、今のままの運動に留まるのか注目されます。

スポンサードリンク
<