フランス・パリの観光名所であるノートルダム大聖堂で2019年4月中旬、大規模な火災が発生し、高さ約90メートルの尖塔が焼け落ちました。建物全体の崩壊は回避されました。
現在、コロナ禍の中、再建工事が行われていますが、ノートルダム大聖堂の特徴とは、どんなものだったのでしょうか。火災前の建物について説明しました。また、歴史や、再建に向けた現在の状況もまとめました(写真は火災前の姿で、写真ACのものです)。
ノートルダム大聖堂の特徴とは
歴史
1163年に建築が始まり、1345年に完成しました。182年もの歳月がかかりました。パリ中心部のシテ島にあり、すぐ近くをセーヌ川が流れています。シテ島はパリで最初に人が住み着いた場所とされています。
ノートルダム大聖堂はフランス語で、Cathedrale Notre-Dame de Parisと表記されます。Notre-Dameは、聖母マリアの意味です。
ちなみに、小文字のnotreは、「私たちの」を、同じく小文字のdameは、「貴婦人や身分の高い女性」をそれぞれ指す言葉です。たとえば、la premiere dame de Franceは、フランスのファーストレディ、つまり、フランス大統領夫人ということになります。
1991年に、「セーヌ川の河岸」の一つとして、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産に登録されました。
特徴 高さと光
高く空に伸びた尖塔を特徴とするゴシック建築の最高傑作とされています。
「飛梁」と呼ばれるアーチ型の柱で大聖堂の外壁を補強し、大聖堂の天井を高く”引き上げて”います。聖堂内部は高い所で約33メートルあり、広い空間が演出されています。
また、3か所の巨大バラ窓にあるステンドグラスを通して、光が大聖堂内に入り込むように設計されています。神を光と見るゴシック建築の考え方を体現したものとなっています。南側のステンドグラスはキリスト、北側のステンドグラスは聖母マリアが絵柄のモチーフになっています。バラ窓は、バラの花びらに似ていることから、こう呼ばれています。
高さと光が、ノートルダム大聖堂の持ち味と言えます。
特徴 レリーフ
大聖堂の正面入り口上部には、「聖母戴冠」「最後の審判」「聖アンナ(聖母マリアの母)」がレリーフで描かれています。また、大聖堂内部には、キリストの生涯を描いたレリーフなどもあります。
特徴 シメールの回廊
シメールはギリシャ神話に登場する守り神です。怪獣のような形をしており、魔除けをするとされています。二つの鐘塔の中間にある「シメールの回廊」(高さ46メートル)には、これらの守り神が配置されています。この回廊からは、パリ市内を一望できます。
特徴 雄大さ、ゼロ地点
大聖堂をゆっくり巡れば、キリスト教カトリックを深く理解することができます。また、その雄大さを知るのなら、近くのアルシュベッシェ橋をはじめ、サン・ミシェル橋、トゥルネル橋などから眺めるといいでしょう。船に乗ってセーヌ川から眺める方法もあります。
大聖堂の近くには、フランス全土の距離を計測する起点となる「ゼロ地点」があります。
再建に向けた現在の状況は?
火災原因
火災原因については、火災当時、修復工事が行われていたことから、電気系統の故障か、作業員によるたばこの火の不始末ではないかとされていますが、依然、明確には判明していません。
再建論争
フランスのマクロン大統領は、火災から5年以内に再建することを表明、尖塔のデザインについては、国際コンペで選ぶ方針を示しました。フランスをはじめとする世界の建築家がデザイン案を公表しましたが、「元の姿に戻すべき」とする仏国民が多く、結局、火災から1年後に、国際コンペは行わず、元の姿に戻すことで決着しました。、
まとめ
歴史的価値のあるノートルダム大聖堂は、フランスだけでなく、全世界の人々にとっても貴重な文化遺産です。早期に元の姿に戻るよう願いたいものです。
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