SFTSというマダニ感染症とは? 症状、感染経路、治療、予防法は?

 SFTS(重症熱性血小板減少症候群)というマダニ感染症が毎年夏にかけて増えます。SFTSとはどんな感染症なのでしょうか。症状や感染経路、治療、予防法などを含めて、SFTSについてまとめました。夏休みになって、子供たちの野外活動が増え、マダニに接触する危険性があるだけに、注意が必要です(トップのイラストは、「いらすとや」のものです)。

SFTSというマダニ感染症とは? 

 国立感染症研究所のホームページなどによると、SFTSは、2011年、中国の研究者らによって発表されました。主に、

 フタトゲチマダニ
 タカサゴキララマダニ

 というマダニにかまれて、うつる感染症です。

日本でのSFTS感染者は?

 国立感染症研究所などによると、2013年1月、SFTS感染者が見つかって以来、これまでに573人が感染し、うち75人が死亡しています。2016年夏には、西日本の50歳代の女性が、SFTSを発症していたとみられる野良猫にかまれて感染し、死亡したことでクローズアップされました。ウイルスが哺乳類から人に感染した初めてのケースで、その危険性が改めて注目されました。

 感染者は夏場を中心に出ています。感染者は西日本に集中していること、高齢者は体力がないことから重症化し、死亡するケースがあるのが特徴です。

SFTSの潜伏期間

 潜伏期間は、1週間から2週間です。

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SFTS症状

 風邪に似た症状がまず出て、

 嘔吐
 下痢
 筋肉痛
 けいれん
 皮下出血
 下血

 などが起きます。さらに重症化すると、

 意識障害
 呼吸困難
 血小板・白血球の急減少

 などの症状も出て、1週間程度で死に至ることもあります。

SFTSの治療

 SFTSを治す薬やワクチンはなく、治癒力を高める対処療法を行います。

SFTSの感染経路

 主に、マダニにかまれることで感染しますが、人から人にうつったケースもあります。50歳代の女性は、ほ乳類の野良猫から初めて感染しましたが、ほ乳類から感染する危険性は高くないとみられています。ただ、衰弱した野良猫など野生の動物にはあまり触らないよう注意することが必要です。

 屋内で飼っている猫は、屋外のマダニに接触する機会はありませんから、あまり、神経質にならなくてもいいでしょう。

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SFTSに感染しないために

 夏休みで、野山に出かける機会も増えます。マダニは草むらに多く生息していますから、以下の点に気を付けたいものです。

 まずは、肌を露出させないことです。

 ・帽子をかぶる。
 ・長袖を着る。
 ・長ズボンを着用する。
 ・マスクをする。
 ・首にはタオルやスカーフをまく。
 ・軍手など手袋をする。
 ・シャツの裾はズボンの中に入れる。
 ・長靴をはき、ズボンの裾を長靴の中に入れる。

 といった対策が重要です。少し暑いかもしれませんが、マダニ対策と考えて我慢しましょう。

 そして、帰宅する前に、以下の点にも気をつけることが大切です。

 ・着衣はよくはらって、付着したマダニを落とす。
 ・着衣にマダニが付着していたら、はしなどを使って取り除く。

 マダニが着衣に残っていると、1週間程度、生き続けます。入念にチェックするといいでしょう。

特に注意すべき点は

 万一、マダニが肌に付着していたら、無理やり取り除こうとしないことです。マダニの頭の部分が残ってしまいます。病院に行って除去してもらいましょう。

*こぼれ話*

 もう20年以上前になりますが、中欧に駐在していた時、「クーランチ」(ハンガリー)、「ツェッケン」(オーストリア)と呼ばれるマダニが毎年夏になると、小中学校で話題に上っていました。

 「頭に付着すると、ドリルのように脳の内部へと侵入する」と言われ、ウィルス性中枢神経感染症として恐れられていました。当時、子供たちは、帽子を被って通学したため、これらのマダニにかまれて感染症を起こすことはありませんでしたが、マダニの恐ろしさを感じました。SFTSにも十分に対策を講じて臨みたいものです。

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