独特の人生哲学を持った偉人として知られる本多静六博士の名言から、人生をどう生きるかを学ぶことができます。見習うべき生き方です。本多静六博士についての過去記事の中の名言から、エキス勉強法や毎日の執筆、4分の1天引き貯金などの生き方を改めて探ってみました。
本多静六博士の名言から人生の生き方を学ぶ
◆都立日比谷公園◆
東京市営で初となる公園。理想も高く進まない設計に市会や市民から批判が出るようになったこともあり、1900年、「日比谷公園造園委員会」を設置、林学博士の本多静六らに設計を依頼。ドイツの留学経験から、ドイツの公園を範とし、花壇や噴水、音楽堂、運動場などが計画された。 pic.twitter.com/VCkDozjX1D— kazu (@kazu409366471) August 13, 2024
エキス勉強法
日本の林学の創始者とも言える本多静六博士(1866-1952年)は独特の人生哲学を持った偉人だと思います。著書「本多静六 成功するために 必要なシンプルな話をしよう」を繰り返し読み、学ぶべき点が多いことを感じています。本多博士が実践した中から、まず、「エキス勉強法」と言われた暗記の習慣について書いてみたいと思います。
本多博士は埼玉県の農家に生まれ、小さい頃から、米つきをして農業を手伝いました。この時、「文章規範」などを読みながら、米つきをしたといい、さまざまな本を暗記するようになりました。暗記の原点です。
東京山林学校(のちの東京大学農学部)に入ってからは、正規の勉強をしていなかったことから、第一学期に、幾何と代数(数学)で落第しました。この反省から、以後は、「エキス勉強法」を考え出し、勉強に取り組みました。
毎日学校で学んだことの中から、重要箇所を要約、紙に書いてポケットに入れ、随時、読み返しては暗記したと言います。1000問に及ぶ幾何の問題集を残らず 解いてしまい、次の学期からは満点続きになったそうです。「試験に出るのが楽しみになり、幾何学が道楽になってしまった。先生からは、お前は幾何の天才だ から、授業に出ないでもよいとまで言われた」と書いています。
ドイツ留学中は、国家経済学ドクトルの学位取得にあたり、口述試験の担当教授が使っていた教科書をエキス勉強法で暗記し、ついに、この試験を突破しました。「3週目に257ページ一字残らず暗記してしまった」と本多博士は書いています。
暗記は力なり――。本多博士の実践例を知ると、まさに暗記の力が実感できます。エキス勉強法という暗記を大いに活用したいものです。
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毎日、原稿用紙1枚以上、書く
日本の林学を確立した本多静六博士の著作には、学ぶべき習慣や教訓がたくさんあります。本多博士が、「書く行(ぎょう、行為)」と呼んだものもその一つです。価値のある文書を毎日、原稿用紙1枚(14行32字詰め)以上、書く――。そんな習慣です。
一生涯で書いた本は376冊。その内訳は、教養書53冊、林学書58冊、庭園関係126冊、旅行記104冊などです。膨大な量で、驚かされるばかりです。
本多博士は25歳の時、「毎日14行32字詰めの文章、しかも印刷価値のある文章を1枚ずつ、50歳まで、必ず書く」という行(ぎょう)を始めました。
1週間の旅行の際など、最初はなかなか書けなくて、苦しかったそうですが、先に先にと書くことで、この分量を書き続けてきたと言います。
「少し辛抱して書き続けると面白く、道楽になる」と本多博士は書いています。50歳を過ぎて、行はすんだものの、長年のクセが続き、結局、376冊もの著書を書くことになりました。本多博士には、まさに上記の言葉のように、職業の道楽化という考えがありますが、この文章執筆もその一つです。
「天才とは何ぞや、勤勉是也(きんべんこれなり)」。本多博士は、ゲーテの天才論の中の一文を読み、「ゲーテも俺と同じこうとを言うておるわい」と書いています。
若いころから将来を見据えて、なすべきことを決め、継続するということでしょう。蓄積が力になることがわかります。「印刷価値のある文章」を書くのは簡単ではありませんが、日々、勉強して、文章の内容を高めることが大切になります。
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4分の1天引き貯金
私は資産形成において、本多静六さんの『私の財産告白』という本を大変参考にしていて、
「1/4天引き貯金法」「臨時収入には手をつけず全て貯金」をできる限り実践しているだけに、今回のプレゼントの件非常に悩ましい。資産形成もしっかりできていないのに浪費していいのか…? pic.twitter.com/KLEXRCd8ni
— さくぱん💍💎 (@GP_gahoshiina) February 23, 2024
本多静六博士の「4分の1天引き貯金」はあまりにも有名な逸話でしょう。東京農業大学助教授になった25歳の時から、通常収入の4分の1を天引き、臨時収入も加えて貯金し、そのお金を投資に回したことで、巨大な富を得ることができました。
著書「本多静六 成功するために必要なシンプルな話をしよう」によると、本多博士は、留学先のドイツで学んだ財政学に基づき、通常歳出は通常歳入でまかない、臨時収入には手を付けないことにしたのだそうです。
この時、「学者でも独立できるだけの財産を作らなくては精神、生活の独立もおぼつかない」と恩師からアドバイスされ、「勤倹貯蓄」を決意しました。
月給のうち、4分の1を予備費として天引きして貯金し、それ以外を生活費や交際費などにあてました。本の印税や賞与などの臨時収入はすべて、貯金に回したと言います。月末などになると、三食ごま塩での食事も強いられたそうですが、「決して予算外の支出はしない」と決めたと言います。
次第に、利子収入が月給を上回るようになり、株や土地購入などに投資したことで、巨万の富を得たそうです。
毎日、原稿用紙1枚以上を書くことと同様、ここでも、本多博士の将来を見据える力を見ることができます。一度、決めたことは最初、苦しくても決して変更しない。誘惑に負けない意思の強さがあります。
富は、生活を豊かにしてくれます。そして、4分の1天引き貯金は、自分の近い将来に向けて、自分の内面を鍛える力になってくれます。
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心を込めて、贈り物をする
「少々、お福分け申し上げます」。本多静六・林学博士は、いただきものを二重に生かす「お福分け」を行っていました。「心をこめる」ことに徹し、相手に喜んでもらい、迷惑もかけないように贈り物をする。生活の知恵、処世術と言えるでしょう。
本多博士は、盆暮れの贈答という形式にこだわらず、便利で喜ばれそうなものをもらった時に、お福分けをしました。半分を家に残し、半分を親しい人や近所の人に。家に残した半分は、さらに半分ずつに分け、家用とともに、客人にも提供したといいます。
ここでも、4分の1貯金と同様、4分の1の贈り物活用術です。
「(お福分けなら)先方ではもらいやすく、返礼の苦痛がない。盆暮などに目立つような立派なものを届ければ、先方にかえって返礼の手数をかけることになる」と本多博士は書いています。
高価なものでなくてもいい。自分の心を込める。盆暮にもこだわらない。お福分けで自分と他人の幸福を増幅させる。本多博士が独自のスタイルを貫いたことがわかります。きっと、人間関係も良かったことでしょう。
贈り物をする時は普通、新しいものを買いますがが、いただいたものを生かすという点で、人生の処世術ともなっています。贈答の在り方を考えるヒントにもなります。
本多博士に学んで、私も、ちょっとしたプレゼントをすることにしています。趣味の街歩きでは、訪れた先々で、その土地の和菓子や食べ物などを買います。1つ150円から300円ほどものです。ものを買うと、街のことが理解でき、街歩きの印象度が増します。友人や知人らにプレゼントすれば、さらに、会話も弾み、自然に、人間関係も良くなります。
もちろん、返礼は気にしなくてもいいものばかりです。
どら焼きや大福、だんごなどの和菓子を買うことが多いですが、今や、日本には、いいものがたくさんあります。そんな日本の良さを感じるひと時にもなります。
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抜き書きをする
結局、人は一生涯、努力を続けること、
しかも楽しく努力することこそ、
すなわち人生であると、
徹底的に悟らなければならない。
(本多静六)自分の欠点を受け入れて、
長所を生かすこと。
一生懸命生きている自分を
全力で応援すること。
楽しくLet's go👍✨今日も素敵な一日を✨#ポジティブ pic.twitter.com/nk7p1hvRSN
— ポジティビストJUN (@positivediary3) August 1, 2023
本多静六・林学博士の著書を読んでいくと、世界著名人の言葉の引用、抜き書きが多いことに気づきます。抜き書きを追って読むだけでも、面白く、役に立ちます。本多博士が、丹念な引用、抜き書きで発想を得て、思考を深めていったことがわかります。
「幸福はどこにでもある。しかし、われわれはそれを知らない。いや知ってはいるが、それを尊ぶことを知らないのである」(ゲーテ)
「幸と不幸の差は、その人が人生を楽しくみるか、敵意を抱いて陰気に眺めるかの差であると思う」(メーテルリンク)
「自分の仕事にすっかり沈潜し、没頭することのできる働き手はもっとも幸福である」(ヒルティ)
「友人を失わない最良の方法は互いに貸借しないことだ」(ポール・ド・コック)
著書「本多静六 成功するために必要なシンプルな話をしよう」には、これらの言葉がちりばめられています。深く、味わいのあるものばかりです。
本多博士は、新聞や雑誌を読む際、赤鉛筆を手に持ち、日誌に書き抜く部分には横に線を引き、切り抜くべきところには、「 」を付けました。そして、就寝前、卓上日記に線を引いたところを書き抜き、「 」印は切り抜いてスクラップブックに貼り付けました。
この書き抜きやスクラップは、論説や本を書いたり、講演の原稿を作る時には重宝するもので、これを持たない人は決して良いものは書けないだろう、との見方を示しています。
本多博士は、印刷の価値のある文章を1日1ページ分(約400字)の文章を書きましたが、こういう文章を書けるのは、これらの引用、抜き書き、スクラップがあるからこそ、ということが理解できます。
手帳に書いたり、パソコンの文書に打ち込んだりする抜き書きは、知識を豊かにしてくれるだけでなく、読み返すと、いろいろな着想を得ることができます。抜き書きの効用を改めて感じています。
評論家の福田和也さんの著書「ひと月百冊を読み、三百枚書く私の方法」によると、福田さんは、重要部分を万年筆で書き写し、コメントを付け加えています。「写すことによる、発見や理解が必ずあるのです」と書いています。
本田直之さんも、本の重要部分をパソコンの文書に打ち込み、機会を見てはA4サイズに印刷して読み返しています。「レバレッジメモ」と名付けた抜き書きは本田さんの書く原動力となっています。
抜き書きの力を感じ取ることができます。
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睡眠を大切にする
貯金や投資で莫大な資産を築き、勤勉をモットーに生涯で376冊の著書を書いた本多静六・林学博士は、睡眠を大切にしました。疲れたら寝て、常に、頭脳をクリアな状態にしていました。睡眠をもとに効率よく働くことを日々、考え、多くの偉業を成し遂げました。
「私のような凡人が、他の天才人と一緒に進んで行くには、どうしても働く時間を増やさなければならない」。
本多博士は、著書「成功するために必要なシンプルな話をしよう」の中で、こう書いています。働く時間を増やすために、睡眠をうまく取る。いつも頭を朝起き立てのように、明瞭にしていくことにしていました。
「睡眠の度は、眠る長さと深さを掛け合わせたもの」として、短くても深く寝ることを心がけていました。苦学時代は1日3時間、それ以後は4時間でしたが、十分疲れるまで働き、横になれば深い眠りに入れると考えました。
そして、その短時間の熟睡を補うため、日中、疲れたら、その場で、10分から15分くらい幾度でも寝ることにしていました。「床の上、椅子の上、草原でも、どこでも眠る」と書いています。
大量の仕事を睡眠で支えたことがよくわかります。
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私も海外駐在中、睡眠の大切さを痛感しました。欧州では、夏は7時間、冬は8時間、日本との時差があります。日本の時間帯に合わせて働くことも多く、睡眠不足で、思うように仕事がはかどらなかったことを何度も経験しました。本多博士のように、昼食後など細切れでも、睡眠を取って、効率を高める工夫をしました。
「睡眠不足では、いい仕事ができないな」と感じたものです。
睡眠について考えていくと、潜在意識の存在にも気づかされます。ジョセフ・マーフィー博士の著書「眠りながら成功する」を読むと、睡眠と潜在意識の関係がよくわかります。
まず、睡眠は心や体の健康に不可欠としたうえで、眠ることの大切さを説いています。そのうえで、潜在意識は眠らず、いつも仕事をしているので、この潜在意識をうまく活用することを強調しています。
「眠ると知恵がでます」と書いています。
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潜在意識は、あらゆる生命機能を制御するだけではなく、眠る時に話しかければ、指示や導き、答えを出してくれると言います。小説や本を書いたり、発明にとりかかっているのなら、眠る時、潜在意識に話しかければ、潜在意識の知恵や知性、力が小説や本の内容を示してくれたり、発明への解答を示してくれるのだそうです。
「あなたの未来は、今、あなたの心の中にあり、それは習慣的な思考や信念によって決まります」として、未来がすばらしいものであると信じれば、潜在意識が働いて、すばらしいものになると書いています。「最善を信じれば、常に最善のことがあなたに起こります」とも強調しています。
起きる時間を寝る前に潜在意識に指示しておけば、潜在意識が、その時間に起こしてくれる――。
面白いことに、本多博士も、マーフィー博士も、同じことを書いています。本多博士も、潜在意識をうまく活用していたことがわかります。
筆まめになる
「『筆まめな人』にチャンスは集まる」
本多静六・林学博士は、こんな言葉で、筆まめになることを勧めています。
「成功している人は絶えず緊張して、あらゆる面に努力するから、自然、筆まめにもなり、先輩、知友などには時々通信して親交を結んでおく。そして、そのもっとも成功すべき人は、先輩、知友に決して無沙汰はしないが、自分一身上のことはいっさい頼みにいかないという人である。その代りそういう人には、か えって先輩、知友の方から、何かと仕事をくれたり、種々有益な用件を頼まれることになり、ついに成功のもととなるのである」(著書「成功するためにシンプ ルな話をしよう」から)
当然でしょう。葉書などを書くのは、成功するためだけではありませんが、気持ちを込める、という大切さがわかります。
私にも、筆まめの大切さを感じた時があります。万年筆の魅力を感じたからです。会社の先輩が万年筆で葉書を書いているのを見ました。もう30年くらい前になるでしょうか。
その時の先輩は、インク瓶からインクを吸い上げ、太字の万年筆で、丁寧に、文字を書いていました。お礼の葉書でした。インクの風合いがいいと思いました。最後に、楕円形のインク取りで、葉書を上をなぞって葉書書きを終えました。
私もそれ以来、万年筆で葉書や手紙を書いています。字はうまくありませんが、相手を想い、気持ちを込めて書いています。旅先で買った絵葉書、記念切手を貼ることも多くあります。自分だけの、たった1枚の葉書や手紙になります。
フランスから帰国する時に同僚にプレゼントしてもらったフランス製の万年筆や、蒔絵の入った万年筆、「第5世代」と呼ばれる最新型のペンを使っています。使いこなしているため、自然と手になじんでいます。メールなら、すぐに、自分の気持ちを伝えられますが、手書きのハガキや手紙も、また、一味違っていいものです。受け取った時は、うれしい、懐かしい気持ちで一杯になります。
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まとめ
◇本多静六◇[1866~1952]
32年に日本最初の林学博士となる。昭和2年定年退官まで37年の教壇生活。この間、明治神宮神苑や日比谷公園などを設計,日本庭園協会を創立した。一方,山林,山地,株などに投資,学者としては珍しく財をなし,5年には5000ヘクタールの美林を育英事業のため郷里埼玉県に寄付した. pic.twitter.com/BySH9EkBmU— kazu (@kazu409366471) August 14, 2024
こうして、本多静六博士の名言を読んでくると、今後、どう生きたらいいかの人生訓が明確になってきます。1冊1冊、手に取って、本多静六博士の名言を読み込んでいきたいものです。
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