江戸時代の北町奉行所にちなんだレストラン街「北町ダイニング」に行く 江戸庶民の生活を学ぶ

 「ちょっと一杯!おいしさと歴史発見」。こんなキャッチフレーズに引かれて、JR東京駅近くのレストラン街「北町ダイニング」に行きました。同駅八重洲付近に、江戸時代、江戸の町の司法・行政・警察を担当した北町奉行所があったのにちなんだレストラン街です。江戸庶民の生活ぶりを紹介したお触書があり、江戸について学びました。

 町奉行は、寺社奉行、勘定奉行とともに三奉行の一つで、江戸には、北町、南町の二つの町奉行がありました。奉行を筆頭に、与力、同心、岡っ引きらが、八百八町の江戸を取り締まりました。町奉行は激務で、仕事に追われたといいます。遠山の金さんで知られる遠山金四郎が北町奉行を務めたのは、天保11年(1840年)から3年間でした。

 お触書を読むと、江戸庶民の様子がわかって、興味がわきました。江戸庶民は1日2食が普通で、3食になったのは、明暦の大火(1657年)の後なのだそうです。復旧にあたる大工らの職人に昼食を出したのがきっかけだといいます。

 人気の食事もわかります。魚料理では、めざしいわし、さばの味噌漬け、ちりめんじゃこなどです。鶏は時を告げたり、闘鶏のために飼われていたそうですが、ポルトガルからカステラなど卵をたっぷり使ったお菓子が輸入されるようになって、柳川鍋、たまごふわふわ茶碗蒸しなど、さまざまな卵料理が一気に普及したといいます。

 豆腐も江戸っ子に身近な食べ物で、一丁の大きさは、今の豆腐の4倍あったそうです。

 北町ダイニングでは、「『江戸めし』」ざんまい」として9月30日まで、江戸の味わいを再現した料理を各店が出していることも知りました。江戸時代の寿司は、シャリに赤酢を使い、しゃりの大きさは2倍だったそうです。「たまごふわふわ」は、そばの実の入っただしに溶き卵をいれて、ふんわり仕上げたもので、東海道袋井宿で朝食に出されました。今も袋井名物になっています。

 揚げ豆腐のみそ田楽、牛ハラミのグリル「牛鍋」風、蕎麦味噌焼き、おから餃子、たまごとじなどもあります。食は文化です。9月末までに、江戸庶民の味を食べてみたいと思います。