アイディアを凝らしたつけ汁で食べる蕎麦が人気になってきました。ざるやもり蕎麦は、カツオやいりこ、昆布などでだしを取った昔ながらのつけ汁が基本で したが、今や、辛い味のものや、バルサミコ酢を入れたもの、チーズをのせたものなど、つけ汁は多彩です。料理人の発想の豊かさに驚くとともに、食の奥の深 さも感じます。
辛いつけ汁で食べる蕎麦があることを知り、早速、東京・丸の内の蕎麦店「酢重正之 楽」に行き、「とり辛味そば」(980円)を食べてみました。
豆板醤やコチュジャンが入っているからでしょう。つけ汁を見ると、濃いオレンジ色が目に入ってきます。見ただけで、これまでにない、新しい食べ方の蕎麦だ ということがわかります。鶏肉を豆板醤、コチュジャンで炒め、これにシメジとだし汁を加えて、つけ汁を作るといいます。
鶏肉やシメジの食感がいいです。蕎麦にのったねぎや刻み海苔、ごまをつけ汁に入れると、また、味に変化があって、楽しめます。
この店は、長野・軽井沢にある老舗の味噌・醤油店が出したもので、麺が太く、噛むと、ゴリゴリしています。田舎蕎麦の美味しさでしょう。老舗が、新しい辛い味のつけ汁を出すというのは、時代の変化も感じられて、面白いと思います。
新しい蕎麦のつけ汁はこのほかにも、バルサミコ酢、カレー、チーズ、パクチー、クリームスープが入ったものなどさまざまな味があります。煮卵がのっていると、まるで、ラーメンのようです。今度は、違った味も楽しみたいと思います。
2000年代後半、パリに滞在した時ですが、フレンチのシェフたちが、醤油やわさび、日本酒を料理に取り入れるようになりました。日本食は健康にいいということもあり、その後も、ますます、フレンチのシェフたちは、和食の魅力に注目するようになっています。
私が子供のころは、スパゲッティと言えば、ミートソース、ナポリタンくらいでしたが、今や、イタリア発祥のボンゴレやポモドーロなどが人気になり、醤油味やタラコ味など和食の良さも取り入れられています。
ハンバーガーにも和風ハンバーグが登場、バンズにご飯を使ったものも普通になりました。
食はどこまで、変わっていくのでしょうか。