スプレーで躍動感あふれる絵画を瞬時に描く スプレーアートという大道芸の魅力 
  「瞬時に、躍動感にあふれた、質の高い絵を描き上げることが出来ます」。JR川崎駅東口で先日、スプレーアートという新しい芸術の大道芸を披露していた YASUKIさんは、こうスプレーアートの魅力を語ってくれました。早いと1分、大作でも数分で、スプレーで絵が仕上っていきます。観客は大道芸に拍手喝 采です。

ホッと心を和ませてくれる大道芸の魅力を感じました。そして、その大道芸を大切にしていきたいとも思いました。

YASUKIさん(本名・堀川恭樹さん=34歳)は沖縄出身で、8年間、スプレーアートを手掛け、全国を回って大道芸を披露しています。

音楽が鳴ると、YASUKIさんが躍りながら、キャンバスに次々と、スプレーで絵を描いていきます。青色で、空を、白色で、雲を、そして、キャンバス下部 には、赤、黒、青色のスプレーをかけた後、布でこすりながら、山を描きました。三角定規の底辺の部分を利用して、白色のスプレーを線にして吹きかけ、光を 表現しました。

最後は、円形のふたを用いて、キャンバスの左上に、惑星を登場させました。太陽、あるいは月でしょうか。周囲は、赤く、 黄色く輝いています。「光、闇、そして、可能性を表現した」(YASUKIさん)「楽しさ」という絵は7分で完成しました。観客は一様に笑顔です。まじま じと絵に見入る人も多くいました。

「江戸人というのは、笑っただけでは通りすぎない。必ず一文なり二文なりの小銭をほうっていくので す。こうして声を張りあげていれば、二人分の呑み代は、たちまち集まったといいますから、太平楽なもんです。芸は身をたすく、というよりは、愛嬌は宝、と いいたいところです」

江戸に詳しかった文筆家・漫画家の杉浦日向子さん(1958年-2005年)の著書「一日江戸人」を読むと、「大道芸」の項の中で、こんな文章が出てきます。

二人とは、素寒貧になった男性の江戸っ子。一人は鍋底の煤(すす)を顔に塗りたくり、もう一人の男とともに人通りの多いところに行きます。煤の男はしゃが んで、2、3回ピョンピョンはねます。そして、相棒は大声で、「河童でござい~!!」と叫びます。煤の男は舌を握って、「からららら」と言います。する と、通行人がどっと笑います。

お金がなくても鷹揚に生きる。知恵を絞れば、飲み代くらいは簡単にできる。通行人も、その面白さを受け入れ、お金を出す。大道芸の伝統は脈々と受け継がれてきたようです。

大道芸がもっと盛んになって、人々の笑顔が増えればいいなあ、と思いました。

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