ワインを日々の生活に取り入れたら、もっと心豊かなものになると思います。フランスなど欧州の国々に駐在した時は、家族で食卓を囲み、美味しいワインを飲み、料理を食べるだけで、会話が弾みました。また、商談でも、ワインを傾けながらの食事では、うまくいった記憶もあります。東京・上野の国立科学博物館で開催中の「ワイン展」に行き、香り、色、味を楽しむワインの魅力を改めて、感じました。
「ワインのある食卓は、コミュニケーションを図れる場です。たとえば、『セカンド・ライフ』の時期を迎える人たちはこれから、友人たちと食卓を囲んで過ごす時間が増えてきます。ワインを飲んだことのない方にも、ワインを知ってもらうのにふさわしいと思います」
ワイン展のアドバイザーであるソムリエの田崎真也さんも、ワインの魅力をイベントのホームページで、こう語ります。
ワイン展は、「ワイナリーに行ってみよう」「ワインの歴史」「ワインをもっと楽しむ」の3つのコーナーで構成されています。「ワイナリーに行ってみよう」では、カベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネなどワインの原料になるブドウのほか、接ぎ木、剪定、棚・垣根仕立、破砕、ぶどう踏み、発酵、圧搾、熟成、出荷などワインが出来上がるまでの工程が説明されています。
ぶどう踏みや香り体験のコーナーもあって、ワイン造りが臨場感を持って体験できるようになっています。知っているようで知らないぶどうの栽培、ワインの醸造工程が理解できました。
「ワインの歴史」では、世界や日本のワインの歴史を学ぶことができます。ワインの起源は、コーカサス地方で、ジョージアでは8000年前のワイン壺が発見されているそうです。地中海やシルクロードを経て、世界各地に広がったといいます。日本でワインの生産が始まったのは明治時代で、ぶどうの生産地山梨・勝沼の土屋龍憲と高野正誠がフランスに派遣されてワイン醸造を学び、帰国後、ワインを造ったのだそうです。
このワインの歴史については、公式ガイドブックで学ぼうと思っていましたが、開催期間が21日までのことから完売となっており、とても残念でした。ワインの入門書を購入して勉強しようと思っています。
「ワインをもっと楽しむ」では、ワインの色と香りの秘密が説明されています。「ワインレッド」といっても、ぶどうの品種によって、濃淡や濁りが違います。香りも、柑橘やベリーなど多種多様です。色と香りの一部が体験できるコーナーも設けられています。沈没船で見つかった世界最古級(1840年頃の生産)のシャンパーニュも展示されています。
欧州駐在時代、ウィーンでは、山の斜面に設けられたワイン酒場のホイリゲに行き、白ワインを楽しみました。酒場は昔、ワインだけを提供したため、食べ物は人々が持参しました。そんな慣習から現在も、食べ物売り場は別ですが、食べ物を買い、ワインを注文して、ドナウ川を見下ろしながら、飲食すると、ゆったりと落ち着いた気分になりました。また、フランスでは、ワインが身近にありました。安くても美味しいワインは多く、食事が一層、美味しく感じられ、会話の雰囲気も盛り上がりました。
飲み過ぎは禁物でしょう(私もよく飲みすぎます)。しかし、ワインをうまく生活に取り入れられたら、今後のシニアライフは、田崎さんが言うように、豊かになるでしょう。日本産のワインも楽しみたいと思います。
ワインの原料になるぶどう
ワインの製造工程