月刊誌「日経おとなのOFF」の特集「持たない暮らし入門」 人生の節目を認識することの大切さ 中

 月刊誌「日経おとなのOFF」の特集「持たない暮らし入門」の中で、「家事塾」を主宰する辰巳渚さんは、年代別に捨てるものがどう変わるかを書いています。一生には12の小さな節目(相=フェーズ)があり、その節目ごとに新しい人生を生き直すという考え方で、当然、所有するもの、捨てるものが変ってきます。持たない暮らしには、自分がどのフェーズを生きているのか、その立ち位置を再確認することが大切であることがわかります。

 辰巳さんによると、人生の節目は、こんな具合です。

 薄暮期(誕生)
 真似期(3歳から6歳)
 手伝期(6歳から12歳)
 自主期(12歳から22歳)
 自立期(22歳から27歳)
 模索期(27歳から35歳)
 繁忙期(35歳から50歳)
 模索期2(50歳から55歳)
 繁忙期2(55歳から75歳)
 自主期2(75歳から85歳)
 薄暮期2(85歳から死=身)
 記憶期(死=身から死=存在)

 そのフェーズごとに、親という家族から離れ、1人になる(22歳)、結婚(27歳)、出産(27歳から35歳)、子供が独立(50歳)、夫婦2人に戻る(50歳から55歳の間)、孫が誕生、親の世話、孫の世話(55歳から75歳の間)、伴侶の死などが示されています。また、40代(繁忙期)、50代(模索期~繁忙期)、60代(繁忙期)、70代以降で、捨てるべきもの、残すべきもの・得るものが提示されています。

 たとえば、50代では、捨てるべきものとして、親としての自分や子供がいたころのもの、60代では、仕事上の肩書、名刺や体力への過信、逆に、残すべきもの・得るものとしては、50代では、子、老親との新たな親子関係、60代では、今の体にふさわしい記憶、となっています。

 人生は人によって違い、この通りになるとは限りませんが、自分が今、人生のどこにいて、どんな課題を抱えているかを確認する必要性がわかります。自分史を作って、振り返ってみるのもいいでしょう。この立ち位置を再確認することで、捨てるべきもの、残すべきものが明確になってきます。60歳が還暦と言われるように、2度目の模索期、繁忙期、薄暮期がそれぞれやって来るのも面白い点です。

 どきりとしたのは、60代が繁忙期の第2期になっていることです。私は昨年末、定年退職しましたので、繁忙期にあたるとは思っていませんでしたが、じっくり考えると、捨てる、残すという点では、まさに繁忙期にあることがわかります。

 60代を「新しい暮らしを始める第2の繁忙期。ヒトの人生に向き合うフェーズ」として、辰巳さんは、「親の介護や孫の誕生、定年退職など、状況が大きく変わるフェーズ。夫婦2人の生活など、新しい暮らしの形への移行が必要な時期。会社勤めでも自営業でも、仕事を辞めるときには、捨てるべき道具や資料、整理すべき人間関係などが多いので、変化と向き合って取捨選択を」などと書いています。

 私の場合、今後はほとんど着ることがないであろうスーツがたくさん残っています。ワイシャツやネクタイの出番も大幅に減るでしょう。自分の仕事に関するビジネス書も本棚にあふれるほどあります。何を残し、何を捨てるか見極めが求められそうです。一人の子供は結婚しました。親の介護も今後、必要になりそうです。まさに、繁忙期を迎えようとしています。

 「大仕事」をどう、こなすか。しばし、自分の人生を振り返り、その戦略を立てたいと思います。