ヤマカガシは毒蛇であることが改めてクローズアップされました。伊丹市に住む男子小学生が7月末、右手首をかまれて、一時、意識不明に陥ったニュースが報道されたためです。ヤマカガシはどんな蛇で、かまれた時にはどんな症状が出るのか、さらには、かまれた時の対処の仕方をまとめてみました(トップの写真は、「ぱくたそ」からです)。
◇ヤマカガシ
マムシやハブなどと並ぶ毒蛇です。1972年、神戸市の中学生がかまれて死亡するまでは、毒はないと考えられており、今も、毒蛇と思っていない人々もいます。注意が必要でしょう。
体長は60センチから150センチです。生息する地方によって、色が異なっているのも特徴となっています。今回の伊丹市のヤマカガシは、灰色と緑の中間のような色でしたが、関東地方では、赤や黒のまだら模様となったヤマカガシが一般的です。中国地方は、青色をしています。北海道と沖縄を除いた地方に生息しています。
◇ヤマカガシの毒は?
毒性は強く、マムシの3~4倍、ハブの8~10倍の毒と言われています。ヤマカガシの毒が血液の中に入ると、フィブリノーゲンという物質を大幅に減少させます。フィブリノーゲンは、血小板とともに出血を止める役割を果たしており、このフィブリノーゲンが減少することで血が止まらなくなります。
伊丹市の小学生も帰宅後、出血が止まらず、頭痛がひどくなったことから、病院に救急搬送されました。
ヤマカガシは、口腔の奥のほうに、毒牙を持っています。マムシやハブは前歯に鋭い毒牙を持っていますが、ヤマカガシの毒牙は奥のほうにあるうえ、マムシやハブに比べると小さいため、ヤマカガシがしっかりかまない限り、毒は人間の体に注入されなくなっています。こんなことから、無毒の蛇と考えられてきた期間もありました。
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◇ヤマカガシの生息場所、食べ物は?
水田や池、畑、渓流、河川敷など水のある所に生息しています。主に、カエルやドジョウを食べます。
◇かまれた時の症状は?
ヤマカガシの毒は細胞を破壊しないため、痛みや腫れはほとんどありませんが、頭痛や吐き気が起こります。これらの症状に続き、傷口からの出血が止まらない状態になります。皮下出血、内臓出血へと悪化するケースもあり、重症化すると、脳内出血、急性腎不全を起こして死亡することもあります。また、ヤマカガシの首には、別の毒腺があります。1972年以降、4人が死亡しています。
◇かまれた時の対処の仕方は?
かまれた個所から指で毒を出すように出すようにしたら、できるだけ早く医療機関に行くことが重要です。毒が体内に回ってからだと、治療の効果が落ちます。
また、蛇にかまれた場合の血清は、ヘビの毒を一部使って製造されることからヘビごとに違っています。このため、医療機関に着いたら、どんな蛇にかまれたのかを説明することが大切です。できれば、スマホなどで蛇の写真を撮影しておくと役立ちます。
◇夏場は十分に注意を!
ヤマカガシはおとなしい蛇で、攻撃性をあまり持っていないため、手出しして刺激しなければ、かまれることはあまりないと言われています。しかし、夏場を中心に野山へ出かけることも多くなるため、十分に気をつけたいものです。
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