ポコラート世界展「偶然と、必然と、」 アーツ千代田3331で開催 アクセスは?

 ポコラート世界展「偶然と、必然と、」-障害のある人、ない人、アーティストの生の表現を世界に解き放つ—が9月5日まで、東京都千代田区のアーツ千代田3331の1階メインギャラリーで開かれています。ポコラート展はこれまで、全国国内公募という形で行われてきましたが、今年で10周年になったのを記念して、広く多様性に富んだ世界の作品にも対象を拡大したのが特徴です。

 世界22か国の50人の作家による240点が展示されています。アーツ千代田3331へのアクセス方法も含めて、ポコラート世界展についてまとめました(トップの写真は、アーツ千代田3331提供)。

ポコラート世界展「偶然と、必然と、」 アーツ千代田3331で開催

提供 アーツ千代田3331

ポコラート(POCORART)とは

 ポコラート(POCORART)とは、

 Place of CORE(核心)+Relation(関係)ART

 の略で、それぞれの文字を取ったものです。

「障害のある人、ない人、アーティストが同じ地平で表現を高め合う場」というのが理念です。今回のポコラート世界展には、

 国籍
 年齢
 性別
 障害の有無
 美術の枠組み

 を超えた作品がそろっています。

 「多様な地域性や文化を反映しながらも、作者の内なるエネルギーが形となって現れた唯一無二の表現を一堂にご覧いただける機会」(アーツ千代田3331)としています。

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多様性に富んだ作品のいくつかを紹介

 50人の作家のうち、34人が海外在住の作家ですが、そのうち、28人の作家の作品が日本初公開です。多様性に富んだ作品のいくつかを紹介しましょう。

トマシュ・マフチンスキさん ポーランド

 あらゆる人物に扮して、約22000枚のセルフレポートを撮影、「私は誰?」を問い続けています。かつらやトリックは使わず、

 髪の毛や爪が伸びた、逆に切った
 病気になった
 歯がなくなった
 老化してきた

 などの様子を自分の体で表現しています。

 トマシュ・マフチンスキさんは早くして両親を亡くし、孤児院で育ちました。自分を励まし続けた米国の女優を実母だと信じていましたが、実際にはそうではないことを20歳前半で知りました。大きなショックを受けましたが、精密機械工として働きながら、セルフポートレートを撮影しています。

ポコラート世界展「偶然と、必然と、」図録 

ハラルト・シュトファースさん ドイツ

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 五線譜のような線の上に、母への手紙や日々の行動、着ている服などを書き留めた作品です。写真の作品は、長さ6.5メートル、幅1.5メートルの大作ですが、作品は大小さまざまなものがあります。

 作品は、

 文章にも
 楽譜にも
 文様にも

 見えて、さまざまな「疑問」を問いかけてきます。

 ハラルト・シュトファースさんは幼少期から精神を患い、22歳の時に、精神科の施設に入りました。小さい紙に文字や短い言葉を書き始めるようになり、以来、さまざまなメッセージや行動の記録を五線譜のような線の上に書いています。

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イマニュエル・マペウさん ナミビア

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 木製の飛行機のオブジェ(写真左)です。長い足が付けられ、鳥のようにも見えます。文化施設では世界初公開となります。

 イマニュエル・マペウさんはナミビアの貧しい村に住み、6人の子供を養うために、彫刻を作製して国道で観光客に売っています。彫刻以外にも、飛行機やヘリコプター、車、トラックも作っています。飛行機はそのひとつです。

武田拓(ひらく)さん 日本・山形県

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 燃料として再利用するため、蕎麦屋から回収した使用済み割り箸を、

 牛乳パック
 段ボール
 瓶
 籠

 などに挿し続けるうちに、いつしか身の丈を超えるようになり、まるで生き物にも思える作品(写真中央)となりました。

 武田拓(ひらく)さんは2007年から、社会福祉法人ほのぼの会「わたしの会社」に所属しています。

ポコラート世界展 図録「偶然と、必然と、」ー障害のある人、 ない人、アーティストの生の表現を世界に解き放つー / POCORART World Exhibition “Chance and Necessity and …” -Liberating raw expression of artists and people with/without disabilities- 

アーツ千代田3331とは?

インドネシアを代表するエンタン・ウィハルソさんの作品(中央)など
 提供 アーツ千代田3331 

 アーツ千代田3331とは、廃校となった旧錬成中学校の校舎を活用して2010年に開設したユニークなアートセンターです。

 今回のポコラート世界展が開催されている1階メインギャラリーをはじめ、各階の旧教室が、展示などに使われています。一つ一つの美術展を見て歩くだけで、美術とは何か、を学ぶことができます。

 講演会やワークショップ、セミナーもあり、美術への理解を深めることができます。

 入り口前は公園になっていて、木製の階段では、ゆったり休息することができます。昼間は主に主婦の人たちが気軽にセンターを訪れます。そして、夕方には子供たちが公園で遊びます。そんな光景を見ていると、センターは「新しい美術の拠点」として定着してきたことがわかります。

アーツ千代田3331へのアクセスは?

 アーツ千代田3331の住所は、東京都千代田区外神田6-11-14です。

 東京メトロ銀座線末広町4番出口から徒歩1分
 東京メトロ千代田線湯島駅6番出口から徒歩3分
 都営大江戸線上野御徒町駅A1番出口から徒歩6分
 JR御徒町駅南口から徒歩7分
 JR秋葉原駅電気街口から徒歩8分

 となっています。

まとめ

提供 アーツ千代田3331

 「人生のハードルを乗り越えた人々の作品が多くあります。平等や不平等、生や死の問題など、人生のハードルをいかに乗り越えていくかを問う作品群になっています」

 1年にわたって世界でリサーチし、今回の世界展をまとめ上げたキュレーターの嘉納礼奈さんはこう語ります。

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