「大江戸今昔マップ」新版はとても面白い一冊です。江戸の古地図と現在の地図で、大名屋敷や神社、寺院などの江戸めぐりをすると、現在の場所が江戸時代はどんな様子だったのかがよくわかります。時代の変遷を体感することができます。「大江戸今昔マップ」新版は江戸めぐりの街歩きにはもちろん、時代小説を読むのに大いに役立ちます。
「大江戸今昔マップ」新版 江戸の古地図と現在の地図で、大名屋敷などの江戸めぐりを楽しんで
「江戸物を書くとき、いつも気になるのが、『時間と距離感』。古地図を手に実際歩くと、当時の人々の感覚と息吹が伝わってくる」
小説家の宮部みゆきさんが、本の帯で、こう書いています。地図の重要さでしょう。
「大江戸今昔マップ」は、約100万人の人口だった江戸の町に関して、尾張屋版切絵図を30枚収めています。本によると、この切絵図は、金隣堂尾張屋清七が1849年(嘉永2年)に発行したもので、
寺院
神社
大名屋敷
町屋
川
池
堀
道
山林
田畑
などが記載され、江戸庶民が観光ガイドに使ったそうです。
地図は、
大名小路
外桜田
番町
日本橋
愛宕
築地
麻布
雑司ヶ谷
小石川
本郷
駒込
下谷
浅草
本所
などに分かれ、江戸時代の切絵図に、現代の地図が重ね合わせてあります。江戸時代はどんな町だったのか、江戸時代からどんなふうに町が変わったのかが一目でわかります。
たとえば、外桜田絵図は現在の永田町、霞が関、麹町周辺で、江戸の古地図と、現在の地図を重ね合わせて見ることができます。
現在の日比谷公園の近くには江戸時代、日比谷見附があり、その周辺には、
米沢藩上杉家上屋敷
大岡家上屋敷
福岡藩黒田家上屋敷
などがあったことがわかります。
また、現在の警視庁の近くには彦根藩井伊家上屋敷が、赤坂見附付近には、紀州藩徳川家中屋敷や彦根藩井伊家中屋敷があったこともわかります。こうしてみると、現在の永田町、霞が関、麹町周辺は麹町を除いて、大名屋敷が多く並んでいたことを学ぶことができます。
「散歩のポイント」で、各地域の特徴も説明されており、街歩きを一層、楽しいものにしてくれます。
時代小説に出て来る場所を江戸の地図で探す
時代小説に出て来る場所を江戸の地図で探すと、小説の味わい深さも増します。
「半七は先に立って歩いた。二人は安藤坂をのぼって、本郷から下谷の池の端に出た」
岡本綺堂の「半七捕物帳」の一遍「お文の魂」には、主人公の半七が安藤坂を登る場面が出てきます。江戸の地図でみると、今の小石川後楽園の近くに安藤坂があります。当時は、坂の西側に安藤飛騨守の上屋敷があったことから、こう名付けられたといいます。
半七は、神田川から北の伝通院に向かって、坂を登ったことになります。坂は今より急だったそうで、半七は、どんな表情だったのでしょうか。地図を片手に実際、安藤坂、本郷、下谷を歩いてみると、半七の表情が現代によみがえってくるかもしれません。
新版 大江戸今昔マップ (教養・雑学)
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まとめ
地図から江戸時代を想像する。街を歩いて、そして、時代小説を読んで、しばし、江戸時代にタイムスリップする。そんな楽しさを味わうことができます。
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