フランスの哲学者アランのプロポとは? 毎日、便箋2枚分の記事を書き続ける

 フランスの哲学者アラン(本名エミール・オーギュスト・シャルティエ、1868年-1951年)は、プロポと呼ばれる記事を毎日、便箋2枚分、書き続けました。プロポとは、どんな記事だったのでしょうか。アランのプロポについてまとめました。 

フランスの哲学者アランのプロポとは? 毎日、便箋2枚分の記事を書き続ける

 「天才であろうとなかろうと、毎日書くこと」(フランスの文豪スタンダールの言葉)。

 アランの著書である「幸福論」を訳した石川湧氏は、解説で、アランが、このスタンダールの言葉に学び、文体を学んだことを紹介しています。アランは毎日、

 世界
 人間
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 経済
 宗教
 文化

 などについて、便箋2枚分の記事プロポを30年以上にわたって書き続けました。

 「アラン独特の発明」。

 仏文学者の白井健三郎氏は、アランのプロポをこう賞賛しています。フランス語では「PROPOS」で、日本語では、「語録」と訳されています。先の石川氏は、「論語」としてもいいのでは、と指摘しています。

 アランは、仏国内のリセ(高等中学)で哲学を教える一方、1906年から、ルーアンの急進派の新聞「ラ・デペーシュ・ド・ルーアン」に毎週、記事を書くようになり、やがて、それらがプロポ(語録)になりました。

 新聞でのプロポ(語録)は1914年まで、3098編に及びました。当時、この新聞の読者は約25万人でしたが、多くの読者が毎日、そのプロポ(語録)を切り抜き、世界の様々な問題について考えたといいます。

 毎日、一定の量を書く。これは、勤勉の大切さを物語っています。また、継続は力なり、でもあります。

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本多静六博士も毎日、原稿用紙で1枚以上、書く

 そう言えば、日本の林学の創始者である本多静六博士も、満25歳から、毎日、印刷の価値のある文章を原稿用紙(32字詰め14行)で1枚以上、書くことを続けました。

 「どんな仕事でも努力を続けさえすれば、はじめは多少苦しくても、ついには道楽になる、そしてその道楽の面白さは努力の量に比例し、努力の大なるものほど愉快の大なることを自覚した」と本多博士は、著書「成功するために必要なシンプルな話をしよう」で、こう書いています。

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まとめ

 「この本(プロポ)は一目で見渡すべき建物のようではない。これを一気に読むのは、まちがいだろう。時の流れのなかで置きなおすほがましだ。一日に二編か三編のプロポ。すぐに不可欠となり、すぐに愛され、全生涯の伴侶となるだろうところの枕頭の書」

 アランの弟子アンドレ・モーロアがこう言っていることを、石川氏は解説で書いています。

 日々、これらの本を手に取り、ページを開いて、そこにあるアランの社会分析や思想を味読していくといいでしょう。豊かな一日になるはずです。

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