線状降水帯はいつから注目されるように? 発生しやすい場所は?

 積乱雲が次々にできて大雨を降らす「線状降水帯」が梅雨の時期などにニュースになります。線状降水帯はいつから注目されるようになったのでしょうか。また、線状降水帯が発生しやすい場所はどこでしょうか。線状降水帯についてまとめました。

線状降水帯はいつから注目されるように?

 線状降水帯は2014年8月、広島市で発生した豪雨で注目されるようになりました。この時、広島市では、3時間で220ミリの大雨が降り、70人以上が土砂災害の犠牲になりました。

 集中豪雨の時、線状の強い雨域があることは知られていましたが、広島市の大量の雨と犠牲者で一気に線状降水帯が注目されるようになりました。

 それ以後も、線状降水帯がしばしば発生しています。

 2020年夏の熊本豪雨では、3時間に330ミリの雨が降り、球磨川が氾濫して、死者が出る土砂災害が起きました。この熊本豪雨がきっかけとなって、気象庁は2021年6月17日から、「線状降水帯」が発生した場合、警戒を呼び掛ける緊急情報の「顕著な大雨に関する気象情報」を発表しています。

 2021年6月29日未明には、沖縄本島北部に線状降水帯が発生したとして、「顕著な大雨に関する気象情報」を発表しました。同情報が発表されたのは全国で初めてとなりました。

 さらに、気象庁は2022年6月からは、積乱雲が次々にできて大雨を降らす「線状降水帯」の発生の可能性を半日前に予報しています。

 「顕著な大雨に関する気象情報」は、

 3時間の雨量が100ミリ以上の区域が500平方キロ以上にわたる
 区域内に3時間の雨量が150ミリに達した場所がある

 などの条件が満たされた場合、都道府県単位で発表されていますが、気象庁は2023年6月からは、これらの気象条件が満たされなくても、30分以内に、これらの気象条件が満たされると判断した場合は、「顕著な大雨に関する気象情報」を発表するようになりました。

 全国20か所のレーダー網を駆使して、対応するものです。

線状降水帯の発生のメカニズムは?

 線状降水帯の発生のメカニズムも簡単に説明しましょう。

 線状降水帯は、

 南の海から暖かく湿った空気が陸に継続して流れ込む
 その空気が山などにぶつかって上昇する
 積乱雲が次々に発生する
 積乱雲は上空の風に流されて移動する
 次々に発生する積乱雲が線状に連なる

 ことで発生します。いくつもの積乱雲が次々に列になって発生することになり、広範囲の地域で大量の雨を降らせます。

 気象庁は、線状降水帯を

 長さ50キロから300キロ
 幅20キロから50キロ
 高さ15キロ程度

 の線状に延びる強い雨域と定義しています。

 雨は数時間にわたって降り続け、降雨量は、数百ミリとなります。局地的な豪雨は、マスコミで、「ゲリラ豪雨」とも呼ばれます。

 豪雨をもたらす積乱雲がいくつもいくつも相次いで発生するということを考えれば、線状降水帯のもたらす大雨は簡単にイメージできるでしょう。

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線状降水帯が発生しやすい場所は?

 線状降水帯は九州や西日本で多く発生しています。ただ、上記のように、積乱雲が線状に連なれば、日本のどこでも発生します。

 2022年は、

 7月17日~18日 山口県、福岡県、佐賀県、大分県
 8月上旬      東北地方、北陸地方、新潟県
 9月18日~19日 宮崎県
 9月下旬      静岡県

 などで、線状降水帯が発生しました。

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気象庁の線状降水帯の発生予測

 線状降水帯の発生予測はこれまで、難しいものでした。気象庁はレーダーで降雨量を監視していますが、積乱雲のもととなる水蒸気(暖かく湿った空気)を十分に観測できていなかったためです。特に、水蒸気は東シナ海などの海上で発生することが多くなっています。

 このため、気象庁は、観測船2隻を海上に派遣して観測するとともに、国内で運航する民間のフェリーや貨物船など計16隻に海上での水蒸気の観測をしてもらうように要請しました。この結果、レーダーの精度向上も伴って、線状降水帯の発生を予報する態勢が整備されてきました。

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まとめ

 線状降水帯が発生すると、雨量の多い集中豪雨となり、大きな被害が出る恐れがあります。気象庁の観測強化に期待するとともに、線状降水帯についての知識も日頃から、しっかり学びたいものです。

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