ソメイヨシノの由来や歴史、特徴とは？開花時期に合わせて、染井村の跡を歩く

　ソメイヨシノは、日本の桜の約８割を占め、毎年春、多くの人々を魅了します。花見の代表的な桜でしょう。そのソメイヨシノの由来や歴史、特徴とはどうなっているのでしょうか。開花時期に合わせて、染井吉野公園など染井村の跡（東京・駒込）を歩くと、ソメイヨシノの由来や歴史、特徴などがよくわかります。江戸時代、植木職人が活躍した様子を想像しながら、散策すると、楽しいひと時になります。

ソメイヨシノの由来や歴史、特徴とは？

染井霊園入り口付近のソメイヨシノ

ソメイヨシノの由来や歴史とは？

　JR駒込駅を下車して少し歩くと、「染井𠮷野桜記念公園」があります。ここをまず訪れると、ソメイヨシノの由来や歴史を学ぶことができます。

　ソメイヨシノの木はそれほど多くありませんが、この公園の中に、江戸時代の町の風景を描いた１枚の絵があります。「染井之植木屋」のタイトルの下、松の大木が立ち、植木鉢が並ぶ植木屋の様子などが捉えられています。

「染井之植木屋」の絵

　今、染井通りとなっている場所には江戸時代、柳沢家や藤堂家などの大名屋敷があり、広い庭園の手入れに近くの農民が駆り出されたのが、植木屋の始まりだといいます。

　染井村の植木職人は、植物の交配を繰り返しながら、多くの新品種を生み出したそうで、ソメイヨシノもその一つです。植木屋の伊藤伊兵衛が江戸末期、「吉野桜」として売り出しました。

　花の美しさと豪華さが持ち味で、明治３３年、発祥の地にちなんで、ソメイヨシノ（染井吉野）と命名されました。奈良の吉野桜とは異なる品種で、その吉野桜との違いを強調するために、ソメイの名が加えられました。

　私たちが今、春の美を楽しめるのは、この染井村の植木職人のおかげとも言えます。

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ソメイヨシノの特徴とは？

　ソメイヨシノとは、

　オオシマザクラと
　エドヒガンザクラ

　の交配種と言われています。

　日本には、これら２種を含めた１１種の野生種をはじめ、約１４０種の桜がありますが、ソメイヨシノはそのなかでも、日本を代表する桜として知られています。

　淡いピンク色の花が特徴で、花見で人気となっています。成長が早く、花も早く咲き始めます。明治政府が全国各地に植樹し始めると、一気に普及しました。

　公園や城跡、川沿い、湖畔、学校、役所など至る所に、ソメイヨシノの名所ができています。どの名所も印象的で、ソメイヨシノの美しさは、誰もが知っているでしょう。

「染井𠮷野桜発祥の里　駒込」の案内板

染井吉野桜の苗染井吉野桜　庭木

ソメイヨシノの開花時期に合わせて、染井村の跡を歩く

天理協会前のソメイヨシノ

ソメイヨシノの開花時期

　沖縄・九州で３月中旬、開花宣言が発せられると、桜前線は日本列島を北上して、多くの人々の関心を引きます。

　ソメイヨシノの里とも言える東京・駒込の染井村の跡では、例年、３月下旬から咲き初め、４月上旬、満開となります。

染井村の跡

染井通り

　駒込駅から北西に延びる染井通りでは、マンションや一軒家、児童公園、天理協会などのそばで、ソメイヨシノが咲き誇ります。満開のソメイヨシノは圧巻です。

　江戸時代、この通りの両側に、大名屋敷や、植木屋が立ち並んでいたことを想像すると、歴史散歩を楽しむことができます。ソメイヨシノは、いろいろな歴史を見つめながら、生き続けてきました。

マンションの近くにもソメイヨシノが咲く

天理協会前のソメイヨシノ

天理協会前のソメイヨシノ

染井霊園

　染井通りをさらに進むと、染井霊園に至ります。二葉亭四迷、岡倉天心、水原秋桜子、山田美妙、高村光太郎ら多くの文豪が眠る霊園ですが、園内には、ソメイヨシノの大木があり、その美しさが一際、目を引きます。霊園内をゆっくり歩くと、心が休まります。

　「桜物語」のパンフレット（染井よしの桜の里駒込協議会）によると、万延元年（１８６０年）に来日した英国の植物学者ロバート・フォーチュンは、４０００坪の敷地で、鉢植えや路地植えの植物が売られているのを前に、「世界どこに行っても、こんなに大規模に、売り物の植物を栽培しているのを見たことはない」と語ったといいます。